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3Rイニシアティブ閣僚会議
概要報告

池田こみち
掲載日:2005.5.3

転載禁

<リードオフスピーチ:通訳を介してのメモのため一部不正確なところもありますのでその点をご承知の上ご覧下さい。六カ国語の同時通訳が入っていました。>

@ロシア

 鉱業におけるリサイクルに積極的に取り組んでいる。貴重な鉱石を抽出する過程において発生する鉱石、残さの発生量は大きく、1t生産するのに30〜50tの残さが発生する。

 この20%以上、また選鉱過程で発生する廃棄物の10%を新しい資源としてとらえ、加工処理して廃棄物をできるでだけ減らしていくことが必要と考えている。そのための技術を開発している。また科学アカデミーでは、有害廃棄物を取り扱う技術も検討している。

 鉱業に置いてはいかに廃棄物を有効利用するかが非常に重要でそれが収益性を上げていくうえで鍵となる。また、廃熱利用も試みとして実施している。選鉱過程における廃棄物を電磁波のパルスと組み合わせ金属を適切に抽出するといった技術も開発している。

 鉱業から発生する廃棄物は生態系の安全性を脅かすものとして捉えており、どのような技術を応用することができるか現在も検討中である。地対空ミサイルの電子部品の廃棄物としての処理なども課題となっている。

A韓国

 3Rを成功させるためには利害関係者の協力と技術開発が不可欠。韓国では、EPRについて利害関係者の協力を得ることができた。そのためには、30回にわたる説明や議論を行って、製造者からの理解を得た。韓国の多くが輸出産業によって支えられているので、先進国の環境基準に適合することが必要であると認識し、産業界がEPRについて政府のイニシャティブに協力してくれた。

 地元の企業の協力が得られたことが成功のもとである。従量制価格制度を導入したが1年前から50回にわたる公聴会を地元に対し行った。リサイクルによって得る便益はごみを出した人が得られるということを説明している。科学技術の開発、環境技術開発支援法により10年間研究開発を行ってきた。

 ここでは、設計の段階から3Rを取り入れることが重要となる。多くの国はすでに環境配慮型製品設計を導入しており、韓国もそのための努力を行っている。各国でベスト・プラクティス(BP)の情報の共有化を行っていくことが必要である。

Bイギリス
 
 3R推進には利害関係者の協力と科学技術の振興はきわめて需要と考える。政府が法律を制定するだけでは不十分、生産・消費のパターンは複雑であり、革新的な方法を広く求めている。パートナーシップが重要。まずビジネス。

 いかにしたらビジネスが環境改善を達成し、ビジネスとして利益を上げられるかが課題。持続可能な消費と生産と3R達成に向けてタスクフォースを進めている。家電は、初期の段階でどうすればパフォーマンスを改善できるか、どうすればBPを推進できるかを検討している。グリーン調達も同様。各セクターでの調達の段階で、環境に配慮している。

 地方自治体へのアドバイス、消費者団体の参加がきわめて重要。イギリスでは、市民が創造的なアイディアを出している。その一方で、学術会、研究開発分野との連携が必要、国内では研究ネットワークを構築し、社会科学も含めて研究を行っている。新しいエネルギー技術、デザイン・ソリューションも不可欠。

 持続可能な開発(Sustainable Development)は貿易産業省、テクノロジー産業省にも重要な関連をもっている。物質面での研究分野とも連携している。適切な財政措置が必要。国レベルでの取り組みが中心となるが、国際協力も不可欠。まず、リサーチと分析のネットワークをつくることが重要。OECDがマテリアルフローの研究をしているが、それと連携していく。

 また、ECがUNEPとの連携を進めているようだが、それも支援する。次に、国々が国際的な協力の下情報を共有化し、共通のプライオリティも明らかにしていく。また、経験やBPを共有すること、特にグリーン調達、会計、算定、ベンチマーク指標等についての共有化、各国がパートナーシップを進めることが重要。この会議のフォローアップを歓迎する。

Cフランス

 廃棄物の発生抑制再使用をめざす取り組みには消費行動の変革、見直しが必要であり、取り組み内容が複雑になる。各セクターの自主的な取り組みが必要。フランスでは国家計画が策定されているが、その中に、そうした基本精神を盛り込んでいる。人々が自らそうした考えかたをすることを目指すことが重要。

 農業廃棄物は処理コストが高い上に、環境への負荷が大きい。未使用製品の回収と排除のシステムを導入している。NGOとの連携も図っている。各国間の枠組み協定については、政府がこのような分野に関与し始めた大きな証といえる。顧客に対して重要なことは、必要以上の化学肥料を購入せず、未使用の化学肥料が発生しないようにすることが重要と考える。

 スーパーでのポリ袋をできるだけ減らす試みを進めている。規制を導入するという方法も考えられたが、消費者によって拒否されることが考えられるため、関係者間の協議を進めることによって推進している。03年、各マーケットが15%袋を減らすことを目標として掲げ、その目標は達成されている。消費者の意識の改革も必要。これを全国に展開していくための取り組みがさらに必要である。

 環境省内に作業部会をつくり、議論を展開している。これは再使用の重要性をすべての利害関係者が考えるようになったことを示している。成功事例を公表し、それを次に生かすことが重要である。時には規制も重要だが、利害関係者相互の協議に重きをおき、利害関係者を参画させる形で進めることが重要と考える。

Dカナダ(Nova scotia州政府代表として環境労働省のGerard MacLellan氏が発表)

撮影、辻芳梹
カナダ・ノバスコシア州環境労働局長(中央)

 NS州では、今年末までに現在稼働中の40カ所の埋立処分場を7に減らし、唯一残っている焼却炉を閉鎖する計画である。廃棄物の分別収集の徹底をはかり、生ごみについては、現在78%の世帯が堆肥化のための収集サービスを利用しているが、それを90%まで挙げていく予定となっている。

 この間、廃棄物の処理処分から資源化、減量化を推進することにより、1000の新しい雇用を生み出した。これにより、年間3100万ドルの利益を得たことになる。こうした成果を上げるためには、まず、市民との協議が重要である。環境問題、失業問題に対応することを目標にみんなが議論して具体的に取り組むことが重要。

 当初、連邦政府は各州とも2000年までに50%ごみを削減すると言う目標を提示したが、NS州ではそれを達成するために、特別な措置を執ることにした。一般的には政府が決定して国民がそれに従うが、NSでは、まず住民が参加して協議した。独立した形での市民、事業者、市町村による協議を州政府は背後から支援した。コストをカットし利益を上げるためには持続可能な形での廃棄物対策、資源の活用がそのためには、Visionと創造性(Creativity)が不欠である。

 州内には、魚の廃棄物を回収し(下水処理場に流さないで)、フィッシュオイルなどを取り出し燃料油として利用している企業がある。また、繊維類(紙類)もすべてリサイクルしている。ビールの段ボールのリサイクルも進めている。そうした資源の埋立処分はすべてなくなり、雇用を創出することができた。

 トヨタもゼロウエイスト対策を進めているが、まったく固形廃棄物が工場向上からでない、なおかつ、埋め立てるものがでないといった、ゼロウエイストに取り組むことにより、利益を上げている。このように、企業は「環境」が利益を生むことが分かってきた。

 また、会社のイメージも上げることに役立つこともわかってきた。他の会社も同様に、考えるようになる。まずは協議が必要。電気製品の製造業も様。E−廃棄物についても同様に企業が努力を始めている。環境にやさしい設計のためのインセンティブを高めている。

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 その後、座長が、NGOからの意見を求め、二人が発言を許された。

 一人は、バーゼル・アクション・ネットワークの高宮さん、もう一人は、3R市民フォーラム事務局長の崎田さん、と二人とも女性。高宮さんからは、今回の会議に対する期待と懸念として、3RIの大きな目的は、財、物質、技術に関する障壁の緩和であり、そのためには上流の発生抑制がより一層推進される必要があること、また、4つめのRとしてすべての主体が責任(Responsibility)を持つことが重要であること。

 そして、民主主義的な責任を徹底するためにも環境正義(Environmental Justice)や人権の要素なども勘案していくひつようがあること、などが指摘された。崎田さんからは、3Rの優先順位の徹底が重要であることを指摘し、@天然資源使用の節約、AEPRを基盤にReduceを据えること、BReuseサービスの徹底、C有害物質汚染の最小化、D教育の推進と市民参加の確保、E草の根の連携などの重要性を指摘され、自ら実践し、多くの国々の文化に学びながら、持続可能な発展についてともに考え広げていきたい、と結んだ。

 その後、参加各国から上記の各報告を受けて、日本(高野副大臣)、EC代表、南アフリカ、アメリカ、UNEP代表、ロシア、ドイツ、バーゼル条約事務局代表、ブラジル、ベトナム、イギリスの順で発言が行われた。

 我が国の高野環境副大臣からは、現在、日本では、利害関係者との協議を踏まえ、容器包装リサイクル法の改定に取り組もうとしていることともに、この間、ダイオキシンの排出量の大幅な削減、家電リサイクルの成果、エコタウン事業における高度技術の活用などが紹介された。

 しかし、その他の代表からは、よりソフトな側面に焦点を当てた発言が多く聞かれた。ECからは完全はEPRの法制度化、南アフリカからは自治体の役割と教育の必要性、アメリカからは企業を巻き込む上でのパートナーシップの重要性、ここでは、カナダのノバスコシア州の取り組みが高く評価された。UNEP代表からも自治体の役割の重要性や地域の状態に合わせた対策を進めるためのMulti Stakeholder Platformの重要性が指摘された。

 バーゼル条約事務局からは、3Rを推進するためのルールの徹底、廃棄物の適正管理のための能力開発や化学技術評価の重要性、パートナーシップを構築するための協議の必要性などが指摘された。

 さらにブラジル代表からは、民間セクターの参加の需要性、市民参加の必要性とともに、科学技術への依存はしばしば持続可能でない場合もあり注意が必要であるとの鋭い指摘があった。ベトナム代表からは、利害関係者の役割分担の明確化、消費者の意識啓発、先進国から途上国へのノウハウの移転(ハードな技術ではなく)が指摘された。

 最後にイタリアからは、国際間にあっては、条約や協定などの枠組みの遵守が不可欠であるが、南北だけでなく、南南の連携や南から北への情報提供なども有効なものとして考えていく必要があるというグローバルな問題提起も行われた。この議論の中では、多くの国がカナダのノバスコシアの取り組みに言及し、その実績を高く評価した。

最後に、小池大臣による第四セッションのまとめが行われた。

(1)関係者の協力について

@利害関係者の連携の必要性が各国から指摘され、それが成功つながったことが指摘された。
Aエコラベル、エコ表示、環境配慮型商品の情報、3rに関する情報など様々な情報の共有化が不可欠であることが指摘された。
B3Rの推進には、ローカルレベル、自治体のイニシャティブがきわめて重要であることが指摘された。

(2)科学技術の推進について

@科学技術の役割の認識と一層の開発の推進が必要であること。
A優先研究分野を識別し、よりクリーンな技術を開発、エコデザイン、クリーン プロダクションの推進がひつようであること。
B中央政府の幅広い方針、研究開発の方針、財政的インセンティブが必要であること。
C3Rのための技術移転は、途上国が3rを推進するための協力として是非とも 必要であること。

 以上、3RIは今まさに必要とされていることであり、こうした各国が集まって議論する機会は重要なものであり相互に多いに啓発された。今後も事務レベルでの協議をすすめ、発展させていきたい。

−−−以上