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マイケル・ムーア「華氏911」カンヌ映画祭最高賞
 
青山 貞一

掲載日:2004.5.23

 マイケル・ムーア監督の最新作、「華氏911」がカンヌ映画祭で最高賞を受賞した。

 世界中の多くのひとびとは、ブッシュ大統領が9.11以降やってきた数々の悪行に癖癖としてきた。生理的嫌悪感に近いものをもってきた。おそらくその頂点にあるのは欧州人、とくにフランス人だろう。

 今回のカンヌ映画祭の最高賞は、おそらく欧州人のシニカルなエスプリのなせるわざだと思う。

 マイケル・ムーア監督がもつ健全な批判的精神が米国文化のなかにあること、そして本場米国でこのような映画がつくられたことに、大いに感服している。

 マイケル・ムーア監督に対し素直に受賞おめでとうと言いたい!

マイケル・ムーア監督、カンヌ映画祭の授賞式にて

 2001年9月11日の同時多発テロ事件以来、ブッシュ大統領とビンラディンとの腐れ縁が取りざたされてきた。私もブッシュ大統領と石油利権について、「米国のテロ報復戦争の愚」や「石油権益から見たアフガン戦争」の論考を書きまくった。

  ※ 青山貞一、米国のテロ報復戦争の愚(幻冬舎)
     青山貞一、エネルギー権益から見たアフガン戦争(岩波「世界」)

 それにしても、ディズニーがブッシュ一族の経済的な報復を恐れ、この映画の配信を中止したのは残念である。ディズニーは世界中で子供相手に巨額の利益を得ているのだから、せめてここは我慢して欲しい。いや、マイケル・ムーア監督の映画で利益を得て欲しいものだ。


配給中止のムーア監督「華氏911」上映 カンヌ映画祭
asahi.com 2004.5.23
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 「ボウリング・フォー・コロンバイン」で知られるマイケル・ムーア監督の新作で、ディズニーが配給中止を命じた「華氏(かし)911」が17日、第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映された。ブッシュ父子とビンラディン一族の石油利権をめぐる密接な関係などを多様な資料映像を駆使して検証した。

 米軍の攻撃にさらされるイラクの人々の深刻な被害状況や米兵たちのジレンマを伝えた。また、戦闘長期化で泥沼化するイラクの状況を様々なニュース映像を引用して紹介した部分では、日本人の人質3人をとらえたアルジャジーラの映像も登場した。

 上映後の記者会見でムーア監督は「この映画はブッシュ氏批判ではなく、9・11後に起きたより大きな問題を考えるのが目的」と語った。「米国民がもっとも衝撃を受けそうな場面」としては、2000年に請求した公文書には掲載されていたビンラディン一族に近いブッシュ氏の友人の名が、今年請求したコピーでは黒く塗りつぶされていたことなどを挙げた。

 また、この作品は当初、俳優のメル・ギブソン氏率いる映画会社アイコンと製作の契約を結んだが、撮影開始直前に大統領周辺から同社幹部に「この映画に協力すれば、ギブソン氏は二度とホワイトハウスに招かれないと思え」と製作中止を求める電話があったことも明かした。「まだ米国の配給元は決まっていないが、大統領選前に必ず公開できると思う」と話している。 (05/18 00:15)