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環境省随意契約に依存する
財団法人 日本環境協会

鷹取 敦

掲載日:2006年4月8日


 先に紹介した環境省資料をみると、平成17年度のもっとも契約額の大きな環境省からの「随意契約」「地球温暖化防止キャンペーンに27億円、その効果は」(池田こみち)で紹介された(株)博報堂の請けた「平成17年度地球温暖化防止大規模「国民運動」推進事業」(27億円)であることが分かる。
 その次に大きな事業は、(財)日本環境協会が請けた「平成17年度地球温暖化対策に係る活動拠点、都道府県センター職員研修・推進員研修及び児童・生徒への効果的な環境教育実施等」(5億975万円)である。

 (財)日本環境協会は、年間の契約総額7億9740万円で4位、依託件数も10件と多い。これより契約総額が多いのは(独)国立環境研究所であるが、これは元々環境省本体の研究所であり、経緯から考えて額が大きいのはある程度やむを得ないだろう。その次が(株)博報堂、富士通(株)であり、(財)日本環境協会は公益法人としては契約総額がもっとも大きい。

 ここで(財)日本環境協会の概要をみてみよう。
 同財団法人のウェブサイト、「財団プロフィール」をみると、理事が23名(うち2名が常勤)、監事2名(いずれも非常勤)、評議員が18名であることが分かる。ここには職員数は示されていない。ちなみに常勤の理事2名は、以下のとおり、いずれも環境省からの天下りである。

専務理事   斉藤照夫 (前)公害健康被害補償予防協会 理事
(最終官職)国立環境研究所総務部長
常務理事 塚腰光男 (最終官職)環境省自然環境局自然環境整備課長

 次に(財)日本環境協会の平成16年度収支計算書をみてみよう。

 当期収入14.2億円のうち事業収入が12.8億円と大半を占める。この事業収入のうち自主事業収入が3.3億円、国等依託等事業収入が9.5億円と国からの委託事業に大きく依存していることが分かる。ちなみにこのうち9.1億円が環境省からの委託事業だ。

 なお、自主事業収入3.29億円のうち3.25億円がエコマーク事業収入である。これは実質的には環境省が(財)日本環境協会に独占的に行わせたことから始まった事業であり、税金からの支出こそないものの、国のお墨付きの元、(財)日本環境協会が自主事業として収入を得ることが出来るようになっているものである。
 そもそもエコマークそのものについても批判があり、環境にやさしい商品を普及させるための制度というより(財)日本環境協会に事業収入をもたらすための制度であるという批判もあるが、これについてはまた別の機会としたい。

 話を元に戻すと、平成16年度の環境省からの委託事業が9.1億円であり年度は違うが平成17年度1月までの環境省からの委託事業が7.9億円だから、実質的には(財)日本環境協会の事業収入のほとんどが環境省からの随意契約であり、これにどっぷりと依存している実態が明らかとなる。

 最後に平成17年度(平成18年1月まで)に(財)日本環境協会が環境省から随意契約で請けた委託事業の一覧を契約額順に掲載したい。(財)日本環境協会以外に出来ない業務なのか、そもそも税金で実施するに値する事業なのか、疑問は深まるばかりである。

地球温暖化対策に係る活動拠点、都道府県センター職員研修・推進員研修及び児童・生徒への効果的な環境教育実施等 5億975万円
こどもエコクラブ事業 1億775万円
「環のくらし」普及啓発(夏季) 6000万円
「環のくらし」普及啓発(冬季) 3800万円
主体間連携モデル事業(選定、評価等業務) 3600万円
環境カウンセラー登録制度推進業務 2205万円
地域協同実施排出量抑制対策推進モデル事業 1420万円
全国星空継続観察等実施業務 599万円
環境ラベルに係る国際的整合等調査事業 250万円
平成18年版環境白書表紙絵コンクールの実施等業務 118万円