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環境省随意契約問題
〜環境ジャーナリストの会が
事務局を置いている〜
(財)地球・人間環境フォーラム

鷹取 敦

掲載日:2006年4月13日


リンク:青山貞一ブログ


 環境ジャーナリストの会(JFEJ)という集まりがある。

 同グループのウェブサイト「環境ジャーナリストの会とは」によれば
 「環境ジャーナリストの会」は、91年7月に設立されました。ジャーナリストが、会社やメディアの違いを越え、環境問題についての最新情報や意見を交換できる場をつくることがねらいです。現在、新聞、テレビ、雑誌等に所属するジャーナリスト、企業やNGOの広報担当者など多種多様なバックグラウンドを持つ約80人(?)が会員になっています1999年度の会長は岡島成行((社)日本環境教育フォーラム常務理事、元読売新聞記者)です。
という趣旨の集まりである。

 この会に所属するジャーナリストは当然、環境問題に関心が強いわけだから、環境省の随意契約の問題にも熱心だろうと思われたが、この間の報道をみていると環境省の随意契約の問題についてはNHKが熱心に取り上げているだけで、他では環境省の発表を簡単に伝えているだけのようだ。

 日本における環境問題を論ずる時、お金の問題、特に税金の支出のあり方とともに、調査等の客観性、第三者性の問題は避けて通れないから、この問題についての報道の少なさは気になっていた。



 ところでこの環境ジャーナリストの会の事務局は(財)地球・人間環境フォーラムに置かれている。(財)地球・人間環境フォーラムといえば、環境省が平成17年度の随意契約先のランキング上位に位置した財団法人である。件数にして12件(11位)、総額1億9千万円(24位)の委託事業を随意契約により請けている。

 ちなみに、「環境ジャーナリストの会とは」にある1999年度会長の岡島氏(元読売新聞記者)が常務理事を行っているという(社)日本環境教育フォーラムも同様にこのランキングによれば件数にして7件(29位)、総額4千万円の委託事業を随意契約によって請けている。

 (財)地球・人間環境フォーラムに話を戻すと、この財団法人は理事19人(うち常勤2名)、監事2名(うち常勤1名)評議員28名である。職員数は目につく場所には掲載されていない。常勤理事のうち1名(事務局長)は元環境省自然環境局自然環境整備課長の塚本忠之氏である。

 また、理事長は元環境事務次官、前神奈川県知事の岡崎洋氏で、岡崎氏は知事退任後に(株)エコループ・センターの社長をつとめ、神奈川県山北町に神奈川県内(川崎市、横浜市等を除く)全域の一般ごみ、産業廃棄物を処理する民間の施設を計画したが、地元の反対により計画を断念している。

 そういえば、神奈川新聞やTBSの「噂の東京マガジン」では大きく取り上げられたこの問題について、他のメディアではあまりみかけることが少なかったように思う。

 同財団法人のウェブサイトに掲載されている「平成16年度補助金等概要報告書」をみると環境省からの委託事業は以下の2件、総額3千万円余で、年間収入約6億円に占める割合は5.1%と掲載されている。なお、決算書によると約5.2億円が事業収入である。

・IPCC第4次評価報告書作成支援調査 20,425千円
・砂漠化防止対策技術の移転手法等検討調査委託業務 10,300千円

 しかし平成17年度は前述したように12件、1億9千万円もの事業を随意契約で請けているのだから、平成16年度の報告が全てを網羅しているかどうか、やや疑問だ。

 平成16年度と平成17年度で年間収入が同程度であるとすれば、平成17年度の環境省からの随意契約は全体の約1/3に及ぶことになる。

 先に紹介した(財)日本環境協会(財)地球環境センターと比べれば、環境省の随意契約による委託事業への依存度は低いものの、環境省依存は決して小さいとは言えない。

 最後に平成17年度(平成18年1月まで)に(財)地球・人間環境フォーラムが環境省から随意契約で請けた委託事業の一覧を契約額順に掲載する。いずれも随意契約、すなわちこの財団法人以外に出来ない事業だとはとても思えない。

3Rイニシアティブ閣僚会合開催運営等業務 1億500万円
インターリンケージ;地域間協力による持続可能な開発のための知識・能力開発ワークショップ開催業務 1491万円
リユースカップ等の実施利用に関する検討調査 1292万円
環境コミュニケーション普及推進事業 1197万円
砂漠化防止対策技術の移転手法等検討調査委託業務 1023万円
我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務 1008万円
森林生態系の保全管理に係る調査業務 750万円
持続可能な地域づくりに向けた取組の促進事業業務 615万円
砂漠化防止対策推進支援調査業務 504万円
発展途上地域における原材料調達のグリーン化支援事業に関するフィージビリティー調査業務 400万円
GESAMPによる海洋汚染物質再評価試験 270万円
砂漠化防止対策技術情報調査業務 168万円

 このような財団法人に間借りしていれば、環境省の随意契約の問題について詳しく取材・報道するのは難しいとでもいうのだろうか。