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ヤバクなっているこの国(2)
〜 フランスでは政府の横暴に
民衆や学生が大規模デモ〜


日刊ゲンダイ

再掲載日:2007.1.27


 危険なのは、安倍自公政権の戦略路線がミエミエになっているのに、それを阻止したり、抵抗する運動がほとんど起きていないことだ。

 無いわけではない。評論家の佐高信氏やジャーナリストの斉藤貴男氏、精神科医の香山リカ氏ら著名人12人が呼びかけ人に名を連ねた「憲法行脚の会」は各地で憲法9条を守る集会を続けている。共謀罪新設や言論テロに対して頻繁に声明を発表している「日本ペンクラブ」(作家・井上ひさし会長)も同じだ。「百万人署名運動」「ワールドピースナウ」「ピースオン」といった市民運動も「9条を変えるな!」をキャッチフレーズに集会を重ねている。

 だが、実情は「官邸前や日比谷公園で集会を開いても参加者はいつも同じ顔ぶれ。たまにインターネットで活動を知り参加する人もいるがごく少数です。普通の大学生など皆無に等しい。シュプレヒコールを上げてデモを行っても街頭の人は無関心で手応えはありません。」(組織関係者)

 民主主義の本家フランスでは、一昨年、昨年と政府の移民対策や“若者解雇法”に怒った大衆や学生が一斉に蜂起した。とくに昨年3月に全国250カ所で行われた抗議デモには約300万人が参加。1968年の5月革命以来の大規模な民衆蜂起に発展し、各地で若者と警官隊が衝突。鉄道、郵便、医療など多業種でストライキが決行されたものだ。

 フランスだけではない。アメリカでも昨年9月、ブッシュのイラク戦争の失敗に抗議してワシントンでは10万人デモが起きた。イギリスでもイラクに駐留する英軍の早期撤退を求めるデモで国内交通機関が麻痺した。実力行動によって、ブッシュ、ブレアをレームダックに追い込んでいるのである。

 羊のように従順で無抵抗な日本人

 ところが、日本ではこうした大々的な抗議デモは見られない。保守王国の宮崎で自民党が敗れ、そのまんま東知事が誕生したことに、ささやかな希望を見いだしているくらいだ。なぜ、日本では政府の悪政に抗議する大規模デモが起きないのか。

 法大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。「自民党が時間をかけて日教組や労組といった運動組織を骨抜きにしてきたからでしょう。その結果、日常生活から民主主義運動やデモが消えてしまった。まともに就職できないフリーターや格差問題に苦しむ庶民を含め、“長いものには巻かれろ”とオカミの言うなりになっているのは、権力に抵抗するスベを知らないからです。」

 立正大教授の金子勝氏(憲法)もこう言う。

「日本人の従順さ、無抵抗は世界でも珍しい。こんな状況下で安倍改革が進められ、子供の頃から愛国心教育を強要されれば、さらに権力に対して何の疑問も持たない若者が増えるのは間違いない。それはいつか来た道で、戦前のような社会になってしまいます。」

 戦争に一直線の安倍もヤバイが、この羊のように“洗脳”された国民性はもっとヤバイのだ。