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この国の教育は
メチャクチャになる

日刊ゲンダイ

掲載:2006年11月7日

 
─ Dailymail Businessより ─────────
■ マスコミの学校問題報道の怪
■ 「高校必修漏れ」や「いじめによる自殺」大騒動は一体誰を利しているか
■ これは安倍政権の教育改悪を助長する謀略の匂い
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学校に競争原理や市場主義を持ち込んだ小泉竹中政治に始まり、それを加速させようと企む安倍教育再生路線を即刻やめさせないと、この国の教育は間違いなくメチャクチャになるというのに……
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 愛媛県内の進学校、県立新居浜西高校の政岡博校長がきのう(6日)、自殺した。

 履修漏れに悩む内容の遺書があり、茨城県立佐竹高校の高久裕一郎校長に続いて2人目の“犠牲者”とみられている。

 現場は悄然としているが、教育者が自殺にまで追い込まれるのには理由がある。当初はこんな騒ぎになるとは思ってもいなくて、「黙っていればバレない」と軽く考えていたのが、変わってきた。

 内申書に虚偽があれば、推薦入学を取り消す方針の大学も現れて、口をつぐんでいた高校が追い詰められてきたのである。自業自得と言えばそれまでだが、ちょっと気の毒な話だ。履修漏れは、「みーんなやっていた」ことだからだ。

 「バレたのは今回が初めてではありません。01年には広島の県立14校で、02年には兵庫県の60校で発覚している。今回は500校以上がやっていた。現場では公然の秘密だったし、当然、教育委員会も知っている。そこに出向者を出していた文科省も先刻、承知しているはずです」(自治体の教育関係者)

 それが大騒ぎになったのは、マスコミが大々的に報じたからだ。キッカケは北日本新聞だったが、大手紙が競うように追随し、どこもかしこもということになった。福岡や北海道、岐阜のイジメ自殺も重なり、教育委員会や学校への大批判になったのだが、この裏には怪しい匂いがする。ズバリ、安倍政権の謀略の影が見え隠れするのだ。

◆ 巧妙に論理をすり替えている厚顔政権 ◆

 一連の騒動を受けて、安倍政権は、だから教育基本法が必要だとか、教育への国の関与が大事だとか言い出し、採択を急いでいる。

 「学校の責任は極めて重い」「教育委員会はチェック機能を果たせなかった」「教育再生のためにも教育基本法改正の速やかな成立を図って欲しい」と安倍は言っているし、伊吹文明・文科相は教育長認可権などを国に戻そうとしている。

 「バカ言うな!」ではないか。高校の履修漏れと愛国心を強要する教育基本法がどう関係するのか? 教育基本法を変えれば、イジメがなくなるのか? 我田引水、本末転倒、責任回避もいいところだ。評論家の佐高信氏も呆れてこう言う。

 「イジメの横行は教師の質の問題、履修漏れは現場を知らない役人の失政です。ところが、安倍政権は国家の言いなりになるような教師を増やし、もっとも現場から離れている国家を再び教育に介入させて、愛国心を押し付けようとしている。

 やっていることが逆なんです。こんなことをやっても、教育の再生にはつながらない。逆に教育の自由を奪うだけです。私はとりわけ、安倍晋三という政治家に教育を語って欲しくない。危険なウルトラタカ派だし、教育を語れるほど勉強をしたのか、と問いたい。彼に資格があるとは思えません」

 小学校から大学まで「成蹊」のエスカレーターだったボンボンに教育うんぬんを言われたくないし、国民が求めている教育再生と安倍がもくろむ教育改革は似ても似つかぬものだ。そこに巧妙な論理のすり替えがあるのである。

◆ 学校にまで市場主義を持ち込もうとする狂気 ◆

 そもそも履修漏れ問題がこれだけ広がった背景は何か。格差社会の拡大があるのは間違いない。受験をして一流大学に行けないと、一生、非正規社員で年収200万〜300万円の「ワーキングプア」になってしまう。小泉―竹中が加速させた競争主義が受験過熱を煽り、それが履修漏れにつながったのである。

 「とくに地方は悲惨で、経済格差があるうえに塾もない。こうしたハンディを背負いながら、いい学校に行かせるには、高校が正規の授業でやりくりして面倒を見るしかない。受験に不必要な科目は必然的に軽視されてしまうのです」(教育関係者)