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自然エネルギー財団

REvision2016 シンポ参加記

開会の挨拶・基調講演

鷹取敦

掲載月日:2016年03月11日
 独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 2016年3月10日(木)、自然エネルギー財団が開催した 国際シンポジウムREvision2016 自然エネルギー飛躍の時 に参加しました。

 自然エネルギー財団は、2011年3月11日に発生した東日本大震災により起きた、東京電力福島第一原発事故をきっかけとして設立されています。

 シンポジウムの様子はUSTREAMの動画と資料が自然エネルギー財団のウェブサイトに掲載されています。

◆国際シンポジウム:
REvision2016 自然エネルギー飛躍の時(プログラム・資料・動画)

http://jref.or.jp/activities/events_20160309.php

 この国際シンポジウムはこれまでにも毎年、国内外から講演者を招き、自然エネルギーの最新の動向を中心に議論されてきました。REvisoin2013には、環境総合研究所の青山貞一顧問、池田顧問が参加されています。

◆自然エネルギー財団 REvision2013 シンポ参加記
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp2052.html

 今回もイイノホールはほぼ満席で、参加者の熱気が伝わってきます。同時通訳のレシーバーが配布され、前の方の席に着きました。


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

 上記の自然エネルギーの財団のサイトから動画を視聴できますが、すべて視聴すると1日かかりますので、当日のメモから講演の概要を紹介いたします。メモから作成したものなので、正確な内容を確認したい場合には、上記のサイトより、資料、動画をご覧ください。

■開会セッション
トーマス・コーベリエル
(自然エネルギー財団理事長)


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

 財団発足から5年。9月に5周年の会議を開く。

 日本、アジア、世界での自然エネの動向をみる。

 ソーラー、風力ともに世界では大幅に拡大している。昨年、風力は設備容量で原発を超えた。ソーラーも2018年には超える。コストが低下し、再エネの価格は新たな化石燃料や新たな原発と同等か、下回るくらいになってる。コストが回収できないので世界で原発を閉鎖している。

 日本でも再エネは増えている。ソーラーが顕著。電力自由化で真の競争が起こるだろう。家庭にも工業部門にもメリット。日本の経済に長期的に貢献。

●基調講演1:姿を現す電力革命
エイモリー・B・ロビンス
(ロッキーマウンテン研究所共同設立者、
 チーフサイエンティスト、名誉会長)


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

 電力業界は旧態依然。一方で消費者は自分で発電できるようになってきた。電力会社に関わる環境が一変している。電力会社の利益を脅かす8つの力が指数関数的に増えている。

 先進国では電力需要の伸びが減り、途上国で伸びも抑えられつつある。電力の効率的な使用が広がり、GDPあたりのエネルギー消費が減っている。(各地の例)技術の問題ではなく、デザインを改善することで低減。電力会社は節電技術との競争。LEDや太陽光発電等、性能が向上しコストが低下。既存の化石燃料や原発は採算割れに。

 化石燃料や原発の設備容量は急速に低下し、再エネが大幅に増加(風力、ソーラー)。一方で日本は世界のトレンドに遅れをとっている。

 消費者は系統から離れなくても、蓄電池で節約でき、発電もできる。再エネがコスト低下により増えている。

 ハワイでは8軒に1軒にソーラー。ソーラー発電の時間帯に合わせてスマート家電でフレキシブルに消費することで大幅な節約。

 大きな発電所は「大聖堂」。ソーラーパネルは工場を作ればどんどん増産でき、速くスケールアップができる。

 フランスで、風力発電の発電量を予測できることを実証。もやは不安定な電源ではない。他の再エネでバックアップできる。一方、火力発電も故障がありバックアップ電源が必要。

 テキサスの例では、分散して再エネで100%供給可能。蓄電も利用して変動を補うことができる。変動は5%程度以下。


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

 ヨーロッパの例では、再エネを全域で分散している。

 デンマークでは32年間で、少数の大きな発電所から、小規模分散発電にシフトした。連鎖停電は起こりえない。

 ドイツでは再エネが普及して、電力会社の(株)が急速に下がった。今のままでは旧態依然の電力会社は持続できない。自動車は1900年にはほとんど普及していなかったが、1913年には自動車が普及し、馬車が廃れた。わずか10年間。同じ事がエネルギー分野でも。変革のペースは既存企業ではなく、新勢力が規定する。

 旧勢力と新勢力の株価を比較すると、旧勢力は停滞し、新勢力は大きく上昇してることが分かる。投資家は新たな勢力に投資する。ITの分野でもエネルギーでも。カーボン(化石燃料)からシリコン(IT・再エネ)へ。

 日本も世界のエネルギーの飛躍を牽引することが出来る。そのためには再エネがフェアに競争できるようにしなければ。


●基調講演2:中国の気候変動対策目標とエネルギー転換
リ・ジュンフェン
(中国・国家発展改革委員会、
国家気候変動戦略研究・国際協力センター所長)


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

 中国のエネルギー事情の動向について。

 電力消費が大きく増加してきたため、1週間に1〜2基の石炭火力発電所を作る必要があり、そのため大気汚染と温暖化ガスが問題に。エネルギーを変える必要があった。

 2020年までに2005年比で40〜45%のCO2排出量原単位(?)削減の目標。非化石燃料を2030年には20%に引き上げる。既に対策が行われはじめ、原単位は大きく下がっている。2020年目標は達成の見込み。風力、ソーラーの目標は上方修正している。大気汚染はまだきれいになっていないが、前進はしている。

 非化石燃料は再エネを含めて18%。2015末には再エネの割合が24.8%となり、ドイツ並み。希望通りではないが、転換は始まっている。CO2の増加率は今後は予測より低くなる。

 中国が低酸素社会に移行すれば世界が恩恵を受ける。再エネと原発を推進する。再エネは目標があるが、原発は福島第一原発事故を深刻に受け止め、戦略を変えつつある。従来は原発を「積極的に」だったのが「安全に」に変わった。

 汚染のない低酸素社会を、世界で共同して作っていくことができる。


撮影:鷹取敦(Nikon COOLPIX S9900)

つづく