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ウクライナへの米軍援助拡大
で平和の可能性はあるのか?
Does peace have any chance with more
US military aid to Ukraine? By Global Times

GT China, War in Ukraine - #709
April 20 2022


翻訳:池田こみち(E-wave Tokyo共同代表)
独立系メディア E-wave Tokyo 2022年4月27日
<イラスト:火に油> llustration: Liu Rui/GT

本文

 ロイター通信は20日、ジョー・バイデン米大統領が数日中にウクライナへの新たな軍事支援(8億ドル相当)を発表する見込みであると報じた。これにより、2月下旬以降の米国のウクライナへの軍事支援の総額は30億ドルを優に超えることになるとロイターは報じた。

 同日、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、アメリカとアメリカが支配する西側諸国は、ロシアの作戦をできるだけ引き延ばすためにあらゆることをしていると述べ、「キエフ政権を刺激して、最後のウクライナ人にまで戦わせようとする意図がある。」と指摘した。

 また火曜日には、CNNが国防当局者やアメリカの情報に詳しい情報源を引用して、アメリカはウクライナに送られた武器がどうなるのかよく分からないと言った。アメリカの意図通りに武装されるのか、それとも出荷しても最終的に予想外の場所に行き着くのか、はっきりしないというのである。それでも米国はウクライナへの軍事支援を強化しようとしている。

 これは、ロシアに十分な損害を与えるために戦争を長引かせたいというワシントンの意向を示している。ウクライナ軍がロシアを押さえ込む武器を確保し、和平交渉の余地をなくしたいのだ。オブザーバーは、バイデン政権がこのような短期間に別の大規模な軍事支援パッケージを発表するのはこのためだとの見方を示した。

 大規模な軍事支援パッケージを提示することで、軍産企業が巨額の資金を稼ぐことができ、その資金はアメリカの国防予算から捻出される。巨大な提案をすることで、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に「確固たる」コミットメントのジェスチャーを示す一方で、アメリカの同盟国にはさらなる炎上を扇動するようプレッシャーをかけることができるのだ。イギリスとカナダは、ウクライナにさらなる軍事支援を送ると宣言している。

 戦争は50日以上続いている。米国は、ロシアとの戦争を戦うために軍隊を送る計画はないと述べた。ロシア国防省によると、ウクライナの戦闘部隊の損失は、土曜日の時点で23,367人に達している。ロシアとウクライナの紛争は、すでに代理戦争と化しており、米国や西側諸国が武器を提供し、ウクライナが人員を提供している。

 米国が行った代理戦争の歴史において、代理人として悲惨な運命をたどらなかった国はない。しかし、米国は常に自由と民主主義の名の下に、これらの苦しみをすべて見て見ぬふりをし、隠蔽してきたのである。

 米国がキエフを刺激して最後まで戦わせるつもりだと言うことは、米国がウクライナの利益を一切考えずにロシアの力を消費することを目的としているに等しいとロシアは指摘している。ワシントンの目には、ウクライナはその力が完全に尽きたときに初めてその有用性を徹底的に認識することになると映っているのだ。

 ロシアの国防相は、ウクライナ国民に対して、米国と西側同盟国の素顔を認識し、自国の運命に関わる外交・安全保障政策の選択には一定の自律性を持つべきだと、ある程度念を押したのであろう。

 ショイグ氏の発言について、中国のネットユーザーからは、「米国はウクライナで大量虐殺を行うために偽装行為を行っている。」というコメントが寄せられた。

 ウクライナ危機を陰でエスカレートさせている米国は、ウクライナ人の大きな犠牲を念頭に置かなければならない。500万人の難民がウクライナから逃れ、約1200万人が戦闘の影響を受けた地域から離れられないでいると考えられているのだ。これはウクライナの人口の約40%に相当する。ウクライナの人道的惨状は、ロシアとウクライナの和平交渉に新たな圧力を加えている。

 とはいえ、米国は和平交渉に関心がないことを証明している。水曜日にはワシントンでG20財務相会議が予定されており、ロシアのアントン・シルアノフ財務相が事実上出席することになる。イエレン米財務長官は、ロシア当局者との接触をほとんど避け、金曜日までの会議を利用して、ロシアへの経済的圧力を高める取り組みについて同盟国と協力するつもりである。

 G20の会議は、国家間の話し合いを増やすための温和なプラットフォームである。しかし、アメリカはこれをロシアに対するもう一つの舞台とすることを計画している。このような国際的な場で分裂や対立を生み出しても、ウクライナ危機の緩和には何の役にも立たない。

 米国は自国の利益のために、常にロシアを挑発し、ウクライナを扇動し、危機管理をより困難にしている。米国の目的は、ヨーロッパをよりよくコントロールし、ロシアを封じ込め、中国を中傷することである。平和的な対話がなければ、現在の軍事衝突は続くだけである。これらのことから、アメリカはトラブルメーカーであり、戦争と混乱の元凶であることが改め
て確認された。