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バイデン政権とウクライナ紛争後
の世界と日本について
概観する
Version 1.4 青山貞一  #4526 2 Feb. 2024


E-wave Tokyo 2024年2月2

青山貞一(77歳) 南京市総統府にて 2023年11月 撮影:池田こみち iphone

本文

 今年(2024年)の11月4日、米国大統領選挙がある。各種世論調査にの予測によれば、バイデンは落選し、トランプ氏が当選する。トランプ氏が大統領になれば、彼が常々言うように、ウクライナ紛争は終わる。おそらくその他の紛争、戦争への関与も減少する。

 トランプの理念、政策は、「一種の鎖国主義あるいはモンロー主義」となる。とはいえ恐らく前回のトランプ政権同様、関税などで中国を標的にした貿易摩擦があるだろう。だが、ロシアのプーチンとはバイデンのような露中敵視はなくなる。プーチンも今年(2024年3月17日)に大統領選挙があるが、まず99%当選するだろう。

 こうなると、ここ数年、バイデン政権の下で第三次世界大戦(WW3)が起こりそうなほど悪化しているように見える世界情勢は、大幅に改善するだろう。ウクライナ紛争で疲弊した欧州(EU,NAO)諸国の経済とエネルギーは、今のどん底状態からは改善するだろうが、エネルギー情勢は、もともと資源エネルギーの埋蔵量が少ない国々であり、少なさによるところが大部分であり、自然系エネルギー源は限界があるので、当面はそれほどよくはならないと思う。

 表向きのビジョンとは大きく異なり、色革命や紛争、戦争ばかりを起こし、現在ウクライナなどを支援する米国民主党とは異なり、トランプ政権成立後の戦後経済は改善されるだろう。

 ※注:米国主導のカラー革命について
   米ボストンカレッジのリンジー・オルーク准教授は著書
   『Covert Regime Change: America’s Secret Cold War』の、
   なかで、1947年から1989年までの間に、米国が政権交代
   のためのカラー革命関連の行動を秘密裏に64回、公然
   と6回実施したことを記したと書いている。
   さらに、上記と重なるがWikileaks創始者のジュリアン・アサ
   ンジ氏は、WW2直後から1992までのいわゆるプラハの春
   東欧諸国、またその後の中東、北アフリカ諸国での米国主
   導のカラー革命があったと、講演のなかで祖述べている。
   その他、比較的最近ではヴェネズエラなど中南米カリブ諸国、
   ジョージアなどコーカサス諸国、香港など東アジア諸国、ウク
   ライナ、ベラルーシー、リトアニアなど東欧州諸国などであっ
  たと されている。米国国務省には、世界各地の地域別の事務次
   官補がアサインされており、その主要な業務には、カラー革
   命の実行可能性のための基礎調査があるという。ちなみに
   ヴィクトリア・ヌーランドは東欧州担当の次官補である。  

 ◆アサンジ氏が暴露した米国の他国政府 転覆マニュアル
  United States involvement in regime change
   翻訳:青山貞一 Teiichi Aoyama Jan 15 2017

 ◆<参考> United States involvement in regime change 
   政権交代への米国が関与 Wikipedia(英文版 量膨大)。

 ◆社説:米国の香港介入の悪行を示す鉄板の証拠
    環球境時報 2021年9月24日
   Global Times September 24, 2021
   翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)


 ロシアとベラルーシ、クーデターとルカシェンコ大統領暗殺を阻止
   BBC 2021-04-17 原語:ロシア語
   翻訳:青山貞一 Teiichi Aoyama(東京都市大学名誉教授)


 しかし、ウクライナ紛争で顕在化したG7 vs BRICSの対立は解消されず、世界は大きく二極化され続け、過去、西欧諸国に植民地化されて来た発展途上国は、欧米諸国への隷属から解き放たれ、BRICSとの貿易、経済の交流が増えることになるだろう。


政策学校 一新塾代表幹事時代の青山貞一

 またウクライナ紛争で新興国、途上国に見せてきたロシアの軍事力、防衛力の質、量、機能の秀逸さは、二極化の流れの中で信頼度を増し、全体として、軍事・防衛・エネルギーのロシア、インフラ・経済・貿易の中国への傾斜を強めるであろう。その過程で、貿易面ではルーブルや人民元が力をつけ、流通量が増えるであろう。

 ところで、明治維新以来、「脱亜入欧」と「富国強兵」のスタンスをとり続け、周辺アジア諸国を蔑視したり、侵略の対象としてきた日本は、今後一層老齢化し、機能不全化する欧州や一国主義をとる米国のいずれの陣営からも見放されるようになるが、経済、貿易では現状の対中国依存のスタンスがつづくだろう。

 これはいくら右翼や極右翼が反中国を叫んでも、イデオロギーや価値観ではなく、実務と実利での中国変わらないと思われるからである。東大東大経済学部卒業後、米国ワシントンDCに35年近く滞在し、秀逸な外交評論を展開している伊藤貫氏も指摘するように、一部日本の評論家などによる、異常な反中、嫌中論評や姿勢、言論はどう見ても常軌を逸していると思える。

 トランプが大統領となれば、日本や米国の台湾重視の政治・軍事姿勢は大幅に減り、日本は過去30年間そうであったように、GDP(経済成長)は殆ど横ばいながら、少し改善するだろう。

 しかし、世界一の少子高齢化の日本の社会情勢が改善する見込みはなく、また東京への一極集中による地方の人口減少と経済の著しい衰退だが、経済の疲弊が改善する見込みもなさそうだ。

 いうまでもなく、日本の最大の課題は、上述のような少子高齢化と東京への一極集中であり、地方の人口と経済の著しい減少と疲弊だが、今後、思考をコペルニクス的に転換すれば、それが改善ができるかもしれない。もっぱら江戸時代は幕藩体制をとりながら3000万人規模で定常状態の経済(Steady state economy)を樹立してきたことを考えると、少子化の100年行く末は、江戸時代にもどるという選択肢もありうる。 

 ※注:我が国の人口
  江戸時代末期には3,400万人程度であったと推定されて
  いるが、明治7年(1874年)に3,500万人に達し、明治45年
  (1912年)には、5,000万人を超えた。

  出典:人口構造の変化の動向 国土交通省

 青山r貞一・池田こみち(定量分析と将来予測))
  人口ピラミッドから見える世界各地、国の現状と将来

  人口減では、例えば実務的には教育では、少子化の影響で受験生の大幅減少で受験地獄は改善されるが、かといって質が向上することは考えられない。

 また日本人の極度の「井の中の蛙」状態は、今後とも大きく改善されることはなく、文化面で世界的、歴史的に見て稀有な日本の文化ではあっても、全国各地でそれを継承する人が増えることはなく、また予算が増えることも期待できず衰退するとすれば大いに残念である。

 とはいえ、世界各国からの日本文化視察や観光は増える。その意味、観点でも、全国各地の日本文化のソフト、ハード両面での支援が望まれる。

 アウトバウンドについては、欧米一辺倒の教育、文化、観光の流れをBRICS(露、中、印、南ア、ブラジル、サウジ、イラン、UAE、アルジェリアなど)及びグローバルサウス(アジア、アフリカ、太平洋、中南米など)に拡大する可能性があるだろう。

 ※注:青山貞一(77歳)の過去73カ国の内訳
  青山は過去73カ国訪問しているが、そのうちアフリカ諸国(11カ国)
  欧州諸国(22カ国)、中東・西アジア・中央アジア(5)、東南アジア諸国
  (22カ国)、東アジア(5カ国)、南北アメリカ諸国(4カ国)、オセアニ
  ア・太平洋(4カ国)


 これにより日本人は、二極化する世界の実態、現状を垣間見ることができるはずであり、「井の中の蛙」、「欧米一辺倒」から脱却することになるはずだ。、

青山貞一 2024.2.2