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米政治家間で露拒絶反応が
根強い中、カールソン・インタビュー
により米国民はよりバランスの
取れた露観を形成できる:専門家

Carlson interview enables American public to form a more balanced view of Russia amid deep Russia rejection among US politicians: experts
筆者:王齊(Wang Qi) GT(中国)
 War on Ukraine #4578 09 Feb. 2024


英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問)

E-wave Tokyo 2024年2月11日

写真キャプション:対面するカールソンとプーチン大統領>Photo:VCG

本文

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、元フォックス・ニュースの司会者タッカー・カールソン氏が、ロシアとウクライナの紛争、NATOの拡大、大国関係について率直に語った2時間のインタビューをネット上で公開したことで、再び世界的な注目を集めた。

 アナリストらは、約2年前のロシア・ウクライナ軍事紛争勃発以来、プーチン大統領が西側メディアと初めて行うインタビューを通じて、ロシア大統領が多くの重要問題に関するロシアの立場を最も直接的かつ権威ある方法で表明したと述べた。それは多くの国民がロシアに対してよりバランスの取れた公平な見方を形成するのに役立つだろう。

 一方、その後のアメリカの政治家やメディアによるカールソン氏への攻撃は、アメリカの政治エリートたちの「根深いロシア拒否」と、人種的、文化的、権力的優位性という固有の偏見を反映したものであり、米ロ関係に対する大きな挑戦であるだけでなく、地政学的混乱の元凶でもあるという。

 インタビューの冒頭、プーチンは東欧とロシアの歴史について長々と語った。プーチンは、ウクライナでロシアを倒すことは「不可能」だと警告し、ロシアはポーランド、ラトビア、その他大陸の国々に対して領土的な主張をしていないと主張した。

 タス通信によると、ロシアの指導者は、モスクワは2022年に戦争を始めたのではなく、ウクライナが2014年に始めた戦争を止めることが目的だと述べた。

 ロシア大統領の発表によると、冷戦時代からロシア研究に取り組んできた米国のシンクタンクやアナリストらは、ロシア領土内にいくつかの準国家を創設し、国民を征服するよう米国政府を説得しようと試みたとタス通信は報じた。

 プーチンはカールソンのインタビューを通じて、ウクライナ危機などの問題に対するロシアの見解や、米露間の多くの紛争の是非を、最も直接的で権威ある方法で米国民に伝えた。中国外交大学の李海東(Li Haidong)教授が金曜日にグローバル・タイムズ紙に語ったところによると、それは、世界がロシアの立場をよりよく認識し、理解することを可能にする非常に質の高い会話であったという。

 カールソンがかつてツイッターとして知られていたプラットフォーム「X」にインタビューを投稿してから6時間後、52万以上の「いいね!」と15万1000以上のリツイートを獲得した。

 「インタビューの効果は明らかだ。世界の大衆、特にアメリカの大衆の間で、プーチンのイメージを形成することにも成功した。このインタビューによって、アメリカの大衆は、アメリカのメディアや政治家に惑わされることなく、ロシアとウクライナの紛争などのトピックについて、よりバランスの取れた見解を形成することができるだろう。」、と李氏は述べている。

 「このインタビューを客観的に見た人なら、プーチンは、言われていたような怪物ではなく、アメリカの指導者に能力があれば交渉は可能だということに同意せざるを得ないだろう。これによって米国が無邪気な戦争好きであるという認識が変わり、最終的には米国/NATOこそがスパイ活動とCIAのカラー革命を通じてロシアの玄関口に戦争と兵器を持ち込んだ張本人であるという大衆の認識につながることを願っている。」、と"Clandestine"を名乗るXユーザーは書いている。

 「残念なことに、このインタビューは自省の念に欠けるアメリカの政策立案者たちに少しも影響を与えないだろう。それどころか、アメリカの主要メディアは、このインタビューをロシアのプロパガンダキャンペーンとして報道するだろう。」と李氏は語った。

 このインタビューが放送される前、カールソンは幅広い批判を浴び、ヒラリー・クリントン元国務長官は彼を 『役に立つ馬鹿(良い活動をしていると無邪気に信じて実際にはそれと気付かずに悪事に荷担している者、プロパガンダに利用されている者をさす言葉。)』とまで評した。『ガーディアン』紙は、カールソンを 『トランプ支持の右翼コメンテーター』と酷評し、このインタビューは、カールソンにとって『悪名高き新境地』を示す結果となった。

 このことは、ロシアとアメリカの対立の間の重要な問題が、アメリカの政治エリートたちによる根深いロシア拒絶に由来するものであり、また、ヨーロッパの安全保障問題や対ロシア政策に対する見方や対処の仕方に内在する 「人種的優越感、文化的優越感、力の優越感」に由来するものであることを改めて示している。これは、「国際情勢が直面する最も深刻な課題でもある。」と李氏は語った。

 「ロシアとウクライナの紛争は2024年も続く可能性が高い。バイデン政権が政策を転換するのは難しく、アメリカの政治エリートの大半は、戦場でロシアを打ち負かすことを依然として望んでいるからだ。」、と李氏は述べた。

 インタビューの中で、プーチンはまた、ロシアはノルド・ストリーム2のまだ
使用可能な存続パイプを通じてヨーロッパにガスを供給する用意があるが、ドイ
ツはノルド・ストリーム2の再開を見送った。

 米国と西側の政治エリートが打ち出した頑固で近視眼的で危険な政策はしばらく続くだろう、と李氏は述べ、また、「米国外交が真に大きな後退に見舞われたときのみ、米国のエリートたちは真の自己探求を行うだろう。そしてその時がウクライナ危機を終わらせる時となるだろう。」、と語った。

 西側諸国が中国の台頭を悪者扱いしていることに対し、プーチンは、中国の外交政策は攻撃的なものではないと述べた。平和と安定を追求する中国の外交の本質を客観的に示しているとして、アナリストたちはプーチンの発言を歓迎した。

 中国の専門家は、カールソン氏に代表される米国の政治保守派は、そのイデオロギーから来る中国に対する一種の抵抗と偏見を持っていると指摘した。北京在住の専門家(匿名希望)によると、プーチン大統領の発言は、中国外交に対する客観的で深く正確な理解に基づくものであり、偏った中国理解を正し、中国の平和的発展に対する欧米社会の不安を和らげるのに役立つと述べている。

 今回のプーチン大統領との面会は、西側社会が中国の外交理念と行動の本質についてより客観的になるためのものでもあり、中国こそが真に平和で安定しているというイメージを国際社会に伝えるものでもある、と同専門家は語った。

 これは間違いなくロシアと中国の緊密な戦略的パートナーシップを示すものである、と彼は付け加えた。