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奇っ怪な
新党日本、有田氏の
繰り上げ当選問題A

青山貞一 Teiichi Aoyama

25 August 2009 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」


有田氏の選択(衆院選貫徹)は当然

 先に@で示したスポーツ報知の記事では、「有田氏は、あくまで激戦となっている衆院東京11区での戦いを優先する意向」とある。 当然のことである。

 事実、「選対事務所内での田中代表との約40分間に及ぶ会談を終えた有田氏は、迷わず言った。『今、(選挙活動を)辞めちゃったら、僕たちと民主党に期待してくれている人たちを落胆させてしまう。自民党政治を変えたい人の希望を絶つことはできない』。戦わずして座れる参院議員の議席を選ぶことはないと明言した」とある。

 ”落胆させてしまう”では済まされない。有権者への裏切り行為となってしまう。

 他方、スポーツ報知の記事では同時に、「有田氏が繰り上げ当選しなければ、名簿の都合上、同党の参院の議席はゼロとなるだけに、新党日本にとっては究極の選択を迫られている」と指摘している。

 実際、8月20日から22日出た新聞記事の多くは、以下の共同通信の記事にあるように、田中、有田両氏は21日午前、都内で対応を協議し、週明けに衆院選情勢を見極めて再協議する方針を確認したとあった。有田氏が当初、当選を辞退を明言したにもかかわらずである。それはあたかも有田氏の繰り上げ当選も考慮するかのごとくの報道がなされたのである。

有田氏の出馬取り下げも  日本、参院繰り上げで

 新党日本の田中康夫代表は21日午前、田中氏の参院から衆院へのくら替え出馬に伴う有田芳生氏の繰り上げ当選について、参院比例代表の選挙会が決定した後に辞退するかを判断する考えを示した。都内で記者団に述べた。

 有田氏は2007年参院選比例代表で田中氏に次ぐ票を得たが、今回の衆院選にも民主党の推薦を得て東京11区と比例東京ブロックに立候補。繰り上げ当選を受け入れれば、衆院選最中に立候補を取り下げる異例の事態となる。

 選挙会は22日、繰り上げ当選者を決める。有田氏が28日までに当選を辞退しない限り、公選法の規定により衆院選の立候補は自動的に取り下げとなる。

 田中、有田両氏は21日午前、都内で対応を協議し、週明けに衆院選情勢を見極めて再協議する方針を確認した。

共同通信 2009/08/21 12:07  


 田中氏と有田氏が衆議院選挙した時点で、有田氏が参院議員の繰り上げ当選を拒否するのは当然である。こともあろうか衆院選挙に突入した時点で、有田氏が参院議員繰り上げ当選を承諾するようなことになれば、新党日本は世間の笑いものになる。あえて候補を出さず、有田氏を推薦した民主党は新党日本にコケにされたことになる。その前に、国民、有権者への裏切り行為となる。

 ところで、有田氏に関しては、22日になって以下の記事が出た。

衆院選、撤退せず=新党日本・有田氏
時事通信 2009/08/22-22:26

 新党日本の有田芳生副代表は22日、中央選挙管理会から参院議員への繰り上げ当選の通知を受けても、衆院選の東京11区への出馬を取りやめない意向を固めた。近く田中康夫代表と協議し、回答期限の28日までに最終判断する。

 中央選管は22日、田中氏が衆院選に立候補して参院議員を自動失職したことを受け、前回参院選の同党比例代表で次点だった有田氏を繰り上げ当選の対象者とすることを決めた。しかし、有田氏は同日、取材に対し「衆院選から撤退することはあり得ない。参院に行くことはない」と明言した。

 有田氏が繰り上げ当選を辞退した場合、比例名簿に従って元党職員の平山誠氏が繰り上げ当選の対象となる。 

 
 有田氏が衆院選、撤退せずとしているのは当然だし、よいだろう。

 しかし、この記事でも、「衆院選の東京11区への出馬を取りやめない意向を固めた」といいながら、他方で「近く田中康夫代表と協議し、回答期限の28日までに最終判断する」としている。

 その後、23日になって以下の記事がでた。

有田芳生氏、“参院に変心”一部報道に怒…東京11区
スポーツ報知  2009.8.23

 一部報道に怒りをあらわにした有田芳生氏  前参院議員の新党日本・田中康夫代表(53)の衆院くら替えに伴う参院繰り上げ当選の権利を持ちながら、東京11区に立候補している有田芳生氏(57)は22日、さも参院に心が傾いているかのような一部報道に対し、怒りをあらわにした。

 板橋区内のショッピングモール前でマイクを握った有田氏は、開口一番「私が参院への繰り上げ当選を選ぶような報道がありますが、そんな安易な道を取るつもりはありません」と有権者に説明すると「冗談はやめてくれ、と私は怒っております!」と顔を真っ赤にして語った。選対事務所には問い合わせが相次ぎ、街頭でも「参院に行くの?」と聞かれる度に説明に追われた。

 既に田中代表とは繰り上げ辞退の方向で合意しており、正式な通知が届いた後の24日以降に正式表明する。

 有田氏をして、さも参院に心が傾いているかのような「一部報道に対し、怒りをあらわにしたというのは当然である。

 だが、これは上述したように、本来、新党日本の代表は有田氏が衆院選に出馬表明する時点で、明確に参議院議員繰り上げ当選を辞退し、衆院選挙に邁進すると明言していなかったからにほかならない?

 今になって 「既に田中代表とは繰り上げ辞退の方向で合意しており、正式な通知が届いた後の24日以降に正式表明する」というのではなく、立候補時点で明言すべきである。


つづく