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日本人外交官殺害の真相?(6)
   青山 貞一

掲載日:2004.4.4


〜4.4のTBS報道特集〜

 月4日のTBS報道特集は、田丸美寿々キャスターらの現地取材によるイラクで昨年末に亡くなられた奥参事官(その後大使)の特集だった。

 おそらく製作に時間をかけた特集であり、積極果敢な現地取材をもとにしている点でも評価できるのだが、番組最後まで奥大使の死亡原因に言及していなかった。番組の圧倒的大部分は、奥さんが早稲田大学ラグビー部時代からの熱血漢であり、被援助国の現場に即した援助を提案し実行してきた立派な外交官であるという意味で、奥大使を賛辞そして賛美する番組の一種だったと言ってよいだろう。

 それはそれとして理解できる。しかし、TBSの報道特集が奥大使殺害事件の原因に一切触れず、この種の番組を製作したことに強い不満と疑義を感じざるを得ない。おそらくそう感じたのは、おそらく私だけではないだろう。

 昨年、TBSの報道特集、それも田丸キャスターが中心になってスコット・リッター氏を特集したことがある。そのときも感じたが、ひとびとが現在最も知りたいことを避け、いわばきれい事(奥大使)や両論併記(リッター氏)の番組製作で終わっているのはいかがなものであろうか。

 とはいえ、報道特集の現地取材インタビューを聞きながら、「米軍誤射」の仮説を裏付けるいくつかの論点を自分なりに得ることができたと思う。

 それは何かというと、第一点は奥氏と井上氏が会議に向かう際、米軍側はヘリを用意したが、奥氏はその便宜供与を受けず、車でティクリートに向かったと言う点である。第二点は、多くの関係者のインタビューを総合すると、奥氏は以前から現場主義者で何でも自分で行うひとであるということだ。

 つまり、普通の日本人外交官なら米軍の世話になりヘリで現地に行ったであろうし、また自分の主体的判断?で車で現地に向かうことはなかったと言うことである。
 
 ヘリの便宜供与を辞退したことはまだしも、通常なら車で現地に向かう場合、リスク管理の観点から当然のこととして米軍側に自分の時間スケジュールはじめ車種の詳細、利用する道路、ルートなどを米軍(CPA)に情報提供するはずである。はずであると言うよりしなければならないだろう。

 しかし、番組からは奥氏はあくまで自分流を通すひとであり、この時も自分流にティクリートに車で向かったと思われる。その結果、同じ道を行く米軍車列に奥氏らの情報が伝わっておらず、米軍誤射に通じたのではないかと、思われる。

 もちろん、これも仮説にすぎないが、TBS報道特集を奥氏の性格、行動様式という観点からじっくりみると、まさに上記のことが浮かび上がってきた。