エントランスへはここをクリック   


がれき広域処理キャンペーンの愚

鷹取 敦

掲載月日:2012年4月12日
 独立系メディア E−wave 無断転載禁


 以前、下記で取り上げたように、平成24年度(2012年度)のがれき広域処理の広報・キャンペーンに15億円の予算がついている。
■がれき広域処理・除染キャンペーンに国税30億円
http://eritokyo.jp/independent/takatori-fnp0010.htm
 平成23年度(2011年度)の「広報」には9億円が投じられているが、これに関して平智之衆議院議員(民主党)が環境省にその内訳を確認しブログで明らかにした。
■がれきの広域処理は原発推進と同じ(民主党 平智之 衆議院議員)
http://t-taira.net/blog/2012/04/post-599.html
 平議員のブログによると、平成23年度の広域処理の広報予算9億円のうち2億円が新聞等の広告出稿、7億円が普及・啓発活動である。2億円の広告出稿とは新聞の全面広告、TVコマーシャル、新聞の中吊り広告のことであろう。平議員によると普及・啓発活動は下記の項目である。内容をみると広域処理と除染の両方に関わる活動と思われる。
  • ポータルサイトの企画・運営
  • パンフレット・DVD作成
  • コールセンター運営
  • 研修等の実施
  • 除染情報プラザの運営等
 本来、政策の合意形成に必要なのは、透明性と参加であるはずだが、環境省は、災害廃棄物安全評価検討会を非公開で開催し議事録・録音の不開示・不作成として、環境大臣に虚偽の答弁をさせい、非常識なパブリックコメントを行ってきていることに象徴されるように、透明性も参加も無い。これらを行わずに一方的に「広報」に大金を投じて強引に広域処理を進めようとしているのが環境省である。

 たとえば、上記にあるポータルサイトとは http://kouikishori.env.go.jp/ のことであろう。客観的な状況を知るために必要な詳細な情報は掲載されておらず、数値は概要があるのみ、写真、ビデオなど情緒に訴える内容が中心である。広域処理の必要性、妥当性を知って冷静に判断したいという人にはほとんど役に立たないサイトである。

 平議員が指摘しているように、これまで原発がいかに「安全」であるかを広報していきた手法を想起させる。これでは広域処理に不安を感じる国民を納得させることが出来るとは思えない。かえって原発事故を連想させ不安をあおることになっているのではないだろうか。

 オルタナ・オンラインというサイトの2012年4月11日の記事でも広域処理等に関する広報事業について取り上げている。新聞、テレビ等が広告の出稿を受けると報道にも影響があるのではないか、という問題点の指摘である。
■政府、がれき処理問題で30億円以上かけメディア動かす――大手新聞各社の社説は奇妙な横並び(オルタナ)
http://www.alterna.co.jp/8764
 オルタナが新聞各社に取材したところ、
社論との関係も「広告掲載の有無が取材・報道に影響を与えることは一切ない」(読売)、「編集方針とは関係ない」(産経)とした。
との回答であったという。

 しかし実際の報道をみると、東京新聞の特報を除けば、記事でも広域処理推進一色である。たとえば4月7日のがれき広域処理問題に関する講演会で沖縄大学のホールが超満員となっても広域処理について問題提起する講演については全く報道されていない。
■青山貞一・沖縄「がれき広域処理」問題講演会の概要
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-democ0007...html
 その後、沖縄県は受け入れを検討している市町村は無いと環境省に報告している。ただし下記の記事でも地元の「反対」の声は伝えられていない。


■産経新聞・沖縄、受け入れ市町村なし がれき処理(2011年4月10日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120410/dst12041016340006-n1.htm

 沖縄県は10日、東日本大震災で発生したがれきの処理に関し「現時点で、受け入れる方向で検討している市町村はない」と環境省に報告した。県は全41市町村を対象に、受け入れが可能か調査していた。県の調査結果によると、名護市やうるま市など29市町村は、焼却施設が老朽化しているなどの理由で「困難」と回答。那覇市や南風原町など12市町村は「安全指針の策定や、風評被害の防止策などが整備されていない」として「現時点では判断できない」とした。


 反対の声は出来るだけ報じず、報じる時には感情的に大きな声を上げている様子を報じ、広域処理の推進に「協力」しているメディアの様子は、戦時中の報道を彷彿とさせる。不安を感じている国民はこのような国の姿勢を敏感に感じ取るから「広報事業」を通じて理解と納得を得ることは期待できないだろう。

 必要性や妥当性、リスク、費用対効果を国民が冷静に議論し、災害廃棄物を適切かつ迅速に処理する政策を実現し、国民の納得を得るには、何が必要なのか、環境省は、広報活動に多額の税金を投じるのをやめ、頭を冷やして考え直すべきであろう。

 細野環境大臣が子供のおもちゃを掲げ、汚染されているように見えますか、と聴衆に問うても汚染されているかどうか見て分かる人などいるわけがないのである。