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クロアチア紀行ブログ

アドリア海の真珠
ドブロブニク
(1) 
Dubrovnik


青山貞一池田こみち

April  2007
無断転載禁
       

2007年3月9日

 以前から一度、アドリア海に面するクロアチアのドブロブニクをじっくり見てみたかった。

 「アドリア海の真珠」と呼ばれるドブロブニクは、マイ・フェア・レディなどで有名な英国の劇作家、バーナード・ショーをして「ドブロブニクを見ずして、天国を語る無かれ」といわしめている。そして旧市街には、「自由はお金では購えない」とある。

 事実、その言葉が象徴するように、ドブロブニクはまさに「美しい国」であり、EUの人々の宝石箱となっているといってよい。


現在のクロアチア。最南端にドブロブニクがある。

ドブロクニクの位置。対岸は南イタリア クロアチアの最南端飛び地にある。

 ドブログニクは現在はクロアチアの一自治体となっている。しかし、中世から近世まで、ドブロブニクはアドリア海の都市国家として、ヴェネチア共和国とともに君臨していた。

 しかも、ドブロブニクは一切、他国を侵略、攻撃せず、他方、あまたの列強を強固な城壁を張り巡らし要塞を配置しすることで撃退してきた。

 ドブロブニクはまさに「専守防衛」と頭を使った戦略的外交を持続的に展開してきた都市国家、共和国である。

 ドブロブニクは世界で最初に奴隷を解放したとか、スカンジナビア諸国顔負けの福祉や医療を高齢者に無償提供し、中世以降、上下水道はじめ都市の各種基盤を整備し、たぐいまれな都市景観を市民自らが構築してきたなど、世界史的にみても希有なまちである。


ドブロブニク旧市街全景

 
衛星画像でみたドブロブニク旧市街全景


 そのドブロブニクに行くために、3月9日、成田からオーストリア航空でウィーンでザグレブに向かう。最初に、なぜオーストリア航空かを説明したい。


機体側面にオーケストラの楽器が描かれている
オーストリア航空のA340


 最終目的地、クロアチアのドブロブニクに行くためにはいくつかの方法がある。EU主要国の首都からドブロブニク国際空港に入る手もあるにはある。しかし、日本からドブロブニク行きの航空券が入手できるのは、ルフトハンザなどほんの数社しかない。チケットも私の常識からすると偉く高い。もちろん、ロンドン、ローマなど主要都市まで格安チケットで行き、そこからドブロブニク国際空港に入る手もあるが、課題がある。

 そのひとつはたとえばドブロブニクに最も近い都市、ローマからドブロブニクへ行く場合でも、成田からローマ到着後、ドブロブニクに乗り換える待ち時間が数時間ならまだしも、ローマに行く飛行機によっては翌日となってしまう。もちろん一日に何便もあればよいが、クロアチア航空の英文Webを見ると、コネクションするクロアチア航空の国際便とEU主要都市を結ぶ便は一日せいぜい1便しかない。日によっては便がない日もある。しかも、往復で諸税等を入れると往復で3〜4万円となる。

 この時期、成田とEUの主要都市間の航空運賃は諸税、例の燃料チャージをいれると南回りやアエロフロートを除くとどうしても12万円以上になってしまう。これに4万円を加えると、航空券代だけで15万円を超えてしまう。しかも、上述のように下手するとEU主要都市で乗り継ぎのために一泊しなければならなくなる。

 クロアチア空港の英文サイトをよく見ると、首都ザグレブとドブロブニク国際空港を結ぶ便は多数ある。しかもクロアチアの国内線は諸税を入れても往復6〜7千円にしかならず、さらに日本からカードで予約、支払いができることが分かった。

そこで考えたのが、成田からEUの主要都市経由でザグレブまで入り、ザグレブからドブロブニクまでは、別途自分たちで調達する国内線チケットで行く手だ。しかし、格安チケットのサイトを検索してみて分かったのだが、成田からEU主要都市経由でザグレブに乗り入れている航空会社はルフトハンザ、アリタリア、アエロフロート、オーストリアしかない。

 ルフトハンザは先に書いたようにかなり高額で除外、アエロフロートはザグレブに行く途中、何とモスクワで一泊する。聞けば、そのホテル代が3万9千円とかで、トンデモである。

 以前、国連のハビタット会議がトルコのイスタンブールであり、アンカラ経由でイスタンブールに向かった。そのときはアエロフロートを使ったが、そのときも確か、モスクワで一泊した。

 だが、そのときのモスクワでのホテル代は無料(航空運賃に含まれていた?)だった。だがホテルとは名ばかり。まるで収容所か、と思うほどお粗末な上に、食事すらまともに取れないような有様だった。

 かくして、結局、残るはアリタリアとオーストリアのみとなった。

 アリタリアとオーストリアの2航空のチケットは、KLM、スイスエアー、スカンジナビアなど他の航空チケットに比べ若干高額だが、この際、どちらかを選ぶしかなく、その結果、残ったのがオーストリア航空だった。

 経路は成田からウィーン経由でザグレブに行く。ここまではオーストリア航空のチケット使用。同日中にザグレブから一気にドブロブニク国際空港まで入ることになった。

 クロアチア航空のザグレブ、ドブロブニク往復の格安チケットは、諸税等をのぞくと何と220クーナ、日本円で4000円台、諸税を入れても6000円台と超格安だ。1クーナは21〜22円である。かくして成田、ドブロブニクの往復航空運賃はしめて13万円台、その日のうちにドブロブニクに到着することになった。

 3月9日、成田を昼に出てオーストリアのウィーンにはその日の午後3時すぎに到着。ここまで同行した若者らはそれぞれEU内をまわることになり、ひとたびグッバイ!だ。

 私と池田こみちさんはウィーン空港でオーストリア航空の小さなプロペラ機に2時間待ちで乗り換える。プロペラ機に乗っている時間はわずか、1時間ちょっと。すっかり夜の帳もおりたクロアチアのザグレブに降り立った。

ザグレブ行きの小さなプロペラ機に乗り換える 夕暮れ迫るバルカン半島を一路ザグレブへ

 ザグレブ空港は、日本で言えば佐賀空港あるいは松本空港並の小さな空港だ。ゲートはなく、すべての乗客はタラップで飛行機を降り、バスで乗降口に向かう。ここで2時間弱待ってドブロブニク国際空港に向かう。ひとくちで言えば、共産圏時代そのままの東欧の小さな田舎空港と言った感じ。

 時間があるので食事をしようと空港2階の薄暗いレストランに行く。野菜のポタージュスープ2つとキノコのリゾット1皿、それに水を注文する。スープはうまいがリゾットは塩気がつよい。なぜ、EUで食べるリゾットはどこでも塩気が強いのか。まいるぞ。 

 日本円で2500円程度払い、出発ロビーに行く。 

 クロアチアやモンテネグロでは、どこもかしこも喫煙が実質野放図となっている。出発ロビー内も強いタバコの臭いがプンプン。困ったものだ。

閑散としているザグレブ空港 ザグレブ空港の出発ロビー

 やっと、搭乗となる。機種はA300系、夜遅いのに、結構満員である。約1時間でドブロブニク国際空港に到着。すでに午後10時過ぎだ。

 空港には宿泊先のアパートメントのご主人が車で迎えに来てくれていた。予約時の約束では到着後、電話することになっていたが、異国の地に夜遅く到着し、疲れ果ていたので、この心遣いが有り難たい。

 自動車で5分と電子メールで言っていたが、空港から宿泊先までは、ほんの5〜6分。

 今回の現地視察はドブロブニクがメインだが、昨年11月に人口わずか60万の人口規模で独立したモンテネグロにも2日ほど時間を取っている。

 ドブロブニク空港からそのモンテネグロの国境まではわずか25km程度、そんなこともあり、宿泊先はクロアチアのドブロブニクとモンテネグロのヘルセグノビの中間にあるドブロブニク国際空港近くのツァヴタット(Cavtat)にしたのは正解で実に好都合だった。

 宿泊だが、そもそもドブロブニクのまともなホテルは1泊2万円が当たり前、最低でも1万5千円で予算オーバー。かといってバックパッカー用の旅籠ではちょっとと思っていた。

 例によってWebでドブロブニクやその周辺のホテルなどの宿泊先を探すと、空港からドブロブニク側に数km行ったところにあるツァヴタットという町があり、そこに小さなアパートメントを見つけた。


ドブロブニク旧市街とツァヴブタットとの位置関係

 しかも、シーズンオフなので一泊280クーナ、日本円で5000円ちょいだ。とはいえ、旅行中の拠点として1週間弱のすべてをこのアパートに宿泊するかどうかは問題。そこで実物を見てから決めようとしていた。

 ご主人の自動車でアパートに到着。アパートには私たち以外宿泊していない。部屋は全部で10ほどある。綺麗で結構広い。シャワーはもちろん、小さなキッチンもついていてグー。

 もちろん、駐車場も無料で使える。主人によるとCAVTATの市街地へは歩いて10分程度でレストラン、雑貨屋など、何でもあるという。さらに肝心なドブロブニクへはアパートの真ん前にあるバス停から直行すると言う。バス停道を渡るだけ、まさに目の前だ。

 これなら1週間弱ここを拠点にしてもよいと即断。


宿泊先アパートのテラスから見たツァブタットのまちなみ。糸杉があちこちに見える。

 当初一泊だけと予約していたが、ここを今回の拠点とすべくご主人に相談する。
すると、何と連泊割引で青山、池田それぞれが1泊220クーナ。1泊4000円ちょいでよいことになった。実にラッキー!!

つづく