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歴史短訪、新羅の首都慶州 14

Histric short visit to Gyeongju, Hometown of Silla

多宝塔と釈迦塔

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2015年8月30日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
歴史短訪、新羅の首都慶州 2015.6.23-25
1 日程概要 8 石窟庵 15 仏国寺伽藍@ 22 海印寺の歴史 29 八万大蔵経A
2 新羅の古墳群 9 如来坐像 16 仏国寺伽藍A 23 海印寺の周辺 30 八万大蔵経B
3 皇帝パン 10 修復問題 17 境内風景 24 伽藍の概要 31 八万大蔵経C
4 雁鴨池@ 11 仏国寺概要 18 慶州で青磁 25 大寂光殿 32 釜山へ
5 雁鴨池A 12 仏国寺の門 19 海印寺へ 26 大毘慮殿 33 釜山臨海部@
6 雁鴨池B 13 仏国寺石橋 20 トレッキング 27 梵鐘閣 34 釜山臨海部A
7 雁鴨池C 14 多宝塔と釈迦塔 21 海印寺の門 28 八万大蔵経@

 次に、仏国寺の<多宝塔>と<釈迦塔>について紹介してみましょう。


仏国寺の境内図   出典:Wikipedia

 以下の案内図では、<多宝塔>が10番、<釈迦塔>が11番になります。下の案内図にあるように、これらは12番の大雄殿(本殿)の前に位置しています。ただし、今回の訪問では釈迦塔が残念ながら修復工事中でした。



仏国寺の案内図
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24

 仏国寺の本殿である「大雄殿」では東側に多宝塔(国宝第20号に指定)、西側に三層石塔(国宝第21号に指定)と二つの塔を見ることができます。

 下の写真では真ん中に大雄殿(本殿)、右側に多宝塔、左側に修復中の釈迦塔の建屋が見えます。


真ん中に大雄殿(本殿)、右側に多宝塔、左側に修復中の釈迦塔の建屋
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24

 四方に石段が設けられた多宝塔は、四角・八角・円形と形の違う塔身石をひとつの塔に盛り込むなど、韓国の石塔としては特殊なデザインをしているのが特徴となっています。

 多宝塔は仏国寺の創建時に建てられたと推察されている貴重な文化財ですが、日本植民地時代の1920年代中頃に日本によって解体・補修され、その過程で内部の遺物が行方不明になってしまったとされています。

 また石段部分には4匹の石獅子がありましたが、同時代に三匹が奪われ、未だに見つかっていないそうです。

 一方、「釈迦塔」とも呼ばれる三層石塔は、二段の基壇上に三層の塔身石を設けた典型的な新羅仏塔といえます。簡素な造りですが、安定感と優雅さを兼ね備えたものです。

 こちらも寺の創建時に建てられたと推測されますが、1966年に盗掘被害に遭っています。しかし同年、復元中の塔から仏舎利を納めていたとされる空間を発見しました。さまざまな遺物とともに世界最古レベルの木版印刷物「無垢浄光大陀羅尼経(国宝第126号)」が見つかっています。それらは現在、国立慶州博物館に保管されています

 出典:KONEST http://www.konest.com/contents/spot_mise_detail.html?id=2334


◆多宝塔(I)
 
 仏国寺の多宝塔は、高さが10.4mあります。新羅時代751年の作と推定されています。日本各地にあります寺院の多宝塔とはずいぶん形状、素材が異なっています。

 四面に階段が設置されまた、塔下部は四本の柱で支えられている珍しい塔の形状をしています。また塔の周りには石獅子が配置されていましたが、現在では1体だけが残っています。

 国宝第20号に指定されています。

 石橋は立ち入り禁止なのでその横から登って行くと多宝塔に行き着きます。その近くにあった魚の彫刻(漁ほう)です。


多宝塔近くにぶら下がっていた魚の彫刻
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24

◆魚ほう

 仏教,とくに禅宗で用いる鳴物(楽器)の一種。魚?(ぎよほう)(開?(かいばん))、飯?(はんぱん)、(ほう)、魚鼓(ぎよこ‖ぎよほう)ともいいます。木製で口に珠をくわえた長魚の形(主に鯉)をしており、寺院の食堂(じきどう)などに魚が泳いでいるようにつってあります。

出典:コトバンク

 こんな画も掛かっていました。 


多宝塔近くの壁に掛かっていた画
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24


仏国寺の多宝塔
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24


多宝塔(たほうとう)

 寺院建築のうち仏塔における形式のひとつです。現代の寺院建築用語・文化財用語としては、一般に、平面が方形の初層の上に平面が円形の上層を重ね、宝形造(四角錐形)の屋根を有する二層塔婆を「多宝塔」と呼称しています。

 宝塔という呼称もあり、現代の寺院建築用語・文化財用語では円筒形の塔身に宝形造(四角錐形)の屋根を有するものを「宝塔」と称して「多宝塔」と区別しています。ただし、「宝塔」はもともと塔婆一般の美称であり、これらの呼称の区別は便宜的なものです。また、多宝塔は日本の場合、主に真言宗系の寺院で見られるのも特徴です。

出典:Wikipedia

 ただし、仏国寺の多宝塔は、日本の寺院の多宝塔とは、形状、素材などで著しくことなっています。下の写真は埼玉県川越市にあります喜多院の多宝塔です。日本の多くの場合は二重の塔の形をしており、木造です。


喜多院の多宝塔
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-24

 下は、埼玉県の狭山不動寺の多宝塔です。


第一多宝塔
  撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-24





仏国寺の多宝塔
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24

 下は、グーグルアースの3次元立体CGで見た仏国寺の多宝塔です。


グーグルアースの3次元立体CGで見た仏国寺の多宝塔


◆釈迦塔(三重石塔)(J)

 仏国寺の釈迦塔は高さ8.2mの塔です。新羅時代の三層塔であり国宝第21号に指定されています。

 1966年には復元工事中、塔中央部から世界最古級の木版印刷物である『無垢浄光陀羅尼経』が発見されています。釈迦塔は現在、修復中で見られませんでした。

 以下は釈迦塔(三重の塔)の概要です。


釈迦塔(三重石塔)の概要
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24


釈迦塔(三重石塔)の概要
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24


釈迦塔(三重石塔)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24


釈迦塔(三重石塔)の側面図
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8  2015-6-24

 下は多宝塔と釈迦塔が同時に写っている写真です。
 

多宝塔と釈迦塔が同時に写っている写真
出典:Visit Korea


◆仏国寺の多宝塔や釈迦塔をめぐる伝説

 仏国寺の多宝塔や釈迦塔には次のような伝説があります。

◆阿斯達と阿斯女

 仏国寺には多宝塔と釈迦塔と呼ばれる2つの石塔がありますが、これらに関する次のような伝説が存在しています。

 すなわち百済に阿斯達(アサダル)という石工がいた。彼は仏国寺の石塔を造るため、妻の阿斯女(アサニョ)を国に残して新羅に向かった。

 3年後、夫を待ちきれなくなった阿斯女が仏国寺を訪れ、夫に逢わせてくれるよう僧侶にお願いした。しかし僧侶は2人が逢うことを許さず、代わりに「石塔が完成すれば影池に石塔の影が映るので、それまで待つように」と阿斯女に教えた。そこで阿斯女は毎日影池を眺めながら夫を待ち続けた。

 ある月夜、影池に石塔の影が映った。阿斯女は喜び、石塔の影に抱きつこうとして影池に飛び込んでしまった。翌朝、石塔を完成させた阿斯達が妻の待つ影池に向かうと、そこには冷たくなった阿斯女の亡骸があった。阿斯達は慟哭し、自らも影池に身を投げて妻の後を追ったという。

出典:Wikipedia


つづく